使用されなかった支援物資のランドセル>アート作品に形を変えて支援の気持ちを繋ぐ
遠足プロジェクトは、2012年3月、カナダ・トロント市在住のアーティスト・武谷大介と女川町在住で当時美術教諭であった梶原千恵が、支援物資のマッチングの難しさから使用されず廃棄処分となっていた中古ランドセルを女川第一中学校(現・女川中学校)から譲り受けた事から始まりました。
ランドセルのうち35個はカナダへと送られ、35組のアーティストによってアート作品に姿を変えて、再度被災地へと送られました。元々の始まりである被災地支援への思いが、アートというコミュニケーションの形で地域の方達へ届けられる形となりました。その後、日本国内からも同数の35組のアーティストが作品を提供しました。
プロジェクトの特徴は、たまり場を作る(=居場所を作る)、こちらから出向く(=遠足に行く)、老若男女誰でも作品を背負うことで自身もアート作品となることです。そして、自分の言葉と距離感で周りの身近な人たちに伝えることで震災の記憶や経験伝承してくという、学びと成長、記憶の集積のメタファーとしてランドセルが機能していることも特徴です。
遠足プロジェクトは、参加する誰もが震災の当事者として自分の入りやすいスタンスで関われることから、震災の記録写真や映像とは異なり、子どもでも「面白そう」から入る形で震災の記憶継承に関われます。その後、プロジェクトは、様々な「まち」(国内20ヶ所、カナダ3都市)へと遠足(巡回)し、被災地の現状を伝えながら復興のアイディアを考えて、それぞれの巡回先でのコミュニティーの課題にも目を向けながら、地域活性化やネットワーク形成をすることとなりました。
そして、その後も石巻市などでも同様のランドセルの提供を受け、日本以外の自然災害を経験したアジアの国々、今後、大規模な自然災害を経験する可能性のある未災地のローカルな課題とも問題意識を共有できないか、との考えから遠足プロジェクトアジアが始まりました。
遠足プロジェクトアジアでは、現地キュレイターと協議を重ね、東日本大震災の記憶継承から、社会を取り巻く環境へと視野を広げて、ローカルな文脈に落とし込むことで、遠足プロジェクトは自分たちのプロジェクトである、という意識を8カ国に及んだ巡回先で共有することができました。今後は、DAIS石巻での常設展示や震災伝承のイベントやワークショップを通じて、これからの10年、20年といった長いスパンでどのように活動するべきかを考えていきます。
遠足プロジェクト
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遠足プロジェクトアジア
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書籍:厄災とアート
遠足プロジェクト & 遠足プロジェクトアジアは、東日本大震災から10年を機に、海外での巡回展を終え、宮城県石巻市の複合文化施設・DAIS石巻に震災の記憶継承を念頭にした資料館の設立準備中です。同時に、今までの遠足プロジェクトおよび遠足プロジェクトアジアの10年間の活動を検証した記録冊子を少しづつ形にしていく方針です。
第一弾は2015年度のフィリピン、2016年度のインドネシアで実施した活動について、参加アーティストや共同キュレイターのインタビューを中心にまとめました。下記より無料で閲覧いただけます。
日英各2,000円(税込み)
※送料は別途頂戴いたします。(2冊まではレターパックライトで370円)
ご注文はメールで承ります。
aadastudygroup@gmail.com まで、お名前、ご住所、電話番号、ご希望の言語・冊数をご連絡ください。